【らーめんめん丸 高田店】フランチャイズのイメージを変える

「らーめんめん丸」は千葉県東金市に本部を構えるラーメン店。

看板ラーメンは、特製の赤味噌でつくる「丸味噌ラーメン」。麺類の他、手包みの餃子やチャーハンなど、サイドメニューも充実している。関東を中心に店舗を展開しており、岩手県にも北上市と矢巾町にフランチャイズ店舗がある。

フランチャイズとは、加盟店になりロイヤリティ(加盟金)を支払うことで、本部が開発した商品を提供することができる。全国的に知名度のある商品を扱えるメリットはあるが、統一性が優先され店独自の商品展開ができないことも多い。どこで食べても同じという安心感はあるが、逆に物足りなさを感じる場合もある。

納得のいく味を出したい

「らーめんめん丸」も同様に、本部からのマニュアルに従って調理。スープの食材の量、とり方も決められている。だが、矢巾町にある高田店の店主、永井寛康さんは違った。

「指定された食材の量ではダシが弱い。納得のいく味を出したいと思って食材を増やし、野菜の切り方も工夫しました」

スープの火加減にも気を配る。

「最初は強火、その後アクの出具合などをみて中火に。飴色になったら頃合いです。これもマニュアルではなく、独自に編み出しました」

永井さんはラーメンに対して強い思い入れがある。子どもの頃からとにかくラーメンが好きだった。

「ラーメンは、主役の麺とスープ、脇役のチャーシューやメンマ、ホウレンソウなどが同じ器の中に入り、一杯に集約されているところが魅力。子どもの頃からフォークとナイフを使うご馳走よりも、ラーメンを食べられる時のほうが嬉しかった」

好きな仕事に全力で打ち込む

専門学校卒業後、飲食や土木関係の仕事を転々とした。どの仕事もずっと続けたいとは思えなかった。

土木で働いていた時、永井さんは作業中に誤って2階から転落してしまう。首を痛め1年近く働くことができなかった。その時、永井さんは思う。悔いが残らないように好きな仕事をしよう。復帰後、ラーメン店で働くことを決意する。

28歳の時、めん丸矢巾店に入社。4年後、店長に昇格する。昨年、店舗を買い取りオーナーに。店名を高田店に変えた。メニューは本部から指定された通りだが、見えない部分に永井さんのアレンジが施されている。

夏は永井さんにとって嬉しい季節。めん丸では、冷やし麺は唯一各店でオリジナル商品の開発が許されている。高田店のオリジナルは「冷やし海老味噌」。大量の海老と三陸重茂産の昆布でダシをとり、赤味噌と合わせた。濃度が高く、スープを飲まなくても麺を口に入れた瞬間、海老の強烈なコクが広がる。

ラーメン好きでオリジナルメニューの開発にも意欲的。フランチャイズではなく、めん丸を離れ独立という選択肢はないのだろうか。

「もちろんないわけではありません。でも、現時点では考えていないです。めん丸さんには、私を雇ってくれた恩がある。それに、この味を慕い通ってくれるお客さんたちがいる。私を支えてくれる皆さんに、感謝の気持ちを返していくことが先だと思っています」

永井さん渾身の「冷やし海老味噌」は残念ながら現在は終了。来年の冷やし麺に乞うご期待。


店鋪情報

らーめんめん丸 高田店

住所 紫波郡矢巾町高田15-36-3
営業時間 11:00~深0:30
休日
駐車場 25台

メニュー

冷やし海老味噌 880円
丸味噌ラーメン 720円他

この記事を書いた人

丘森 響オカモリ ヒビキ

岩手県盛岡市在住。岩手まるごとガイド編集長。 フリーライターのほか、飲食店向けのレシピ開発やアライアンス等のコンサルタントとしても活動中。

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